１０３ 婦人用 大島の着物

黒い地糸に白と褐色の絣糸で流水柄を織りなした大島の着物です。 自然豊かな日本の風景の小川の様子を織り成した流水柄で、曲がりくねって流れる水の様子を曲線だけで示しています。 流水柄は永遠を表すおめでたい柄とも言われています。 この大島の絣は一元式で、7マルキの絣柄から成ります。 一元式は、風車のような井形の十字絣をそう呼んでいます。 ７マルキの絣とはタテ糸2本、ヨコ糸2本で柄を作りますが、タテ糸の配列は、絣糸２、地糸２です。 タテ糸は２，２，２，２という配列になり、ヨコ糸の配列も、絣糸２、地糸２で、２，２，２，２という配列です。 USBマイクロスコープ顕微鏡で拡大した７マルキの一元式絣の写真に、タテ,ヨコの絣糸には、赤い線を書き入れ、タテ、ヨコの地糸には黄色い線を入れた写真を載せています。 更に赤い井型の絣を、その下の部分にピンクと緑の線でタテ、ヨコの絣糸の構成する組織の形を書き込んでおきます。（写真8,9,10,11枚目） 黄色で示しています地糸部分も、それぞれ、タテ糸とヨコ糸から成ります。 大島のタテヨコ絣には、一元式とは別に、割り込み式やカタス式と呼ぶ絣もあり、カタス式はタテ糸1本とヨコ糸2本でＴ字形の絣です、現在はカタス式の大島が大半だそうです。 一元式は、風車のような絣の一粒一粒が模様そのものになるので,一粒でも潰れたりすると、模様が成り立たなります。 この７マルキの一元式組織図からもお分かりと思いますが、タテ・ヨコ2本で打ち込む一元式は、とても手間がかかるうえ、織るのが難しく、織り手が少ないとのことです。 誂えられた方は40万円ほどで、購入されたようです。さすがに大島ですね。 胴裏は白の羽二重、八掛は紬用の両駒撚りの生地の深紅の無地を使用しています。 寸法（単位㎝） 身丈149　裄64　袖巾33.5　袖丈47　後巾29　前巾24 広衿　スナップボタンがついています。 袖に細い糸の仕付け糸が残ったままの着物で、汚れはないようです。 シミ汚れ等は出来る限りチェックしておりますが、見落としのある場合もございます。ご理解のほどお願いいたします。 デジカメの画像です。モニターによって色の違いが出ることがありますので、ご了承ください。 撮影に使用しました新品の本築博多の半幅帯はこの大島の着物に付けておきます。